中小企業のAI×DX入門|全体像・始め方・失敗しない進め方をまとめて解説 | みちしるべコンサルティング株式会社|公式サイト

中小企業のAI×DX入門|全体像・始め方・失敗しない進め方をまとめて解説

AI×DX

この記事で分かること

  • AIとDXの違いと、セットで進める理由
  • AI×DXでできること(攻めと守り)
  • 費用の目安と、使える補助金
  • 導入までの6ステップ
  • つまずく会社に共通する3つの原因

読了時間:約15分

生井聖人

監修:
みちしるべコンサルティング

代表
生井 聖人(なまい まさと)

マーケティング歴10年。中小企業のAI×DX支援を専門に、感覚経営から数字経営への移行を伴走支援している。

「AIやDXが大事なのは分かるが、うちの会社は何をどうすればいいのか。」

「社内で話題に出しても、誰が何から手をつけるのかで止まってしまう。」

情報だけが増えて、最初の一歩が決まらないまま時間が過ぎていないでしょうか。

AI×DXが進まない原因の多くは、知識不足ではなく、全体像が1枚につながっていないことにあります。

この記事では、言葉の意味から費用・進め方・つまずきどころまで、AI×DXの全体像を順に整理します。

読み終わる頃には、自社がどこから手をつけるべきかを、社内の言葉で説明できる状態になります。

  1. AI×DXとは何か?
    1. DXとAIは、それぞれ何を指すのか?
    2. なぜ2つをセットで考えるのか?
  2. なぜ今、中小企業でAI×DXが進んでいるのか?
  3. AI×DXで、具体的に何ができるのか?
  4. AI×DXの費用は、どのくらいかかるのか?
    1. 補助金は使えるのか?
  5. AI×DXは、何から始めればいいのか?
    1. ステップ1:業務の棚卸しをする
    2. ステップ2:AIで取り組む業務を選ぶ
    3. ステップ3:AIに任せる部分と、人が判断する部分を分ける
    4. ステップ4:作業に合ったツールを選ぶ
    5. ステップ5:小さく試して、効果を時間とROIで確認する
    6. ステップ6:お試しで終えず、本格導入を判断する
  6. AI×DXのツールは、どう選べばいいのか?
    1. AIツールとDXツールは、何が違うのか?
    2. 選ぶときの判断軸は?
  7. AI×DXで、セキュリティは何を決めておけばいいのか?
    1. 入力した内容は、学習に使われるのか?
    2. 先に決めておきたい3つのこと
  8. AI×DXがうまくいかない会社は、何でつまずくのか?
  9. 単発の効率化を、会社の仕組みに変えるには?
  10. 【事例1】大企業のAI×DX|AIでここまで変わる
    1. パナソニック コネクト|労働時間を年間44.8万時間削減
    2. NEC|議事録作成が平均30分から約5分に
  11. 【事例2】守りのDX|手間と時間が減った例
    1. 22社分の広告レポート作成(みちしるべ自社)
    2. 広告とLPの稼働チェック(みちしるべ自社)
    3. 住宅リフォーム会社の見積書とメール対応(支援先)
  12. 【事例3】攻めのDX|集客と判断が変わった例
    1. ペット葬儀会社の件数予測ダッシュボード
    2. 地域密着の店舗ビジネス(支援先)
  13. ここまで読んだあなたへ
  14. よくある質問
    1. Q1. AIとDXは、どちらから先に手をつければいいですか。
    2. Q2. 社内にITに詳しい人がいなくても、AI×DXは進められますか。
    3. Q3. AI×DXは、どのくらいの期間で効果が出ますか。
  15. まとめ

AI×DXとは何か?

AI×DXとは、AIが使えることを前提に、仕事の流れそのものを組み直す取り組みです。

最近ではAX(AIトランスフォーメーション)とも呼ばれ、中小企業庁「2026年版 中小企業白書」でもこの言葉が使われています。

DXとAIは、それぞれ何を指すのか?

DXは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略です。

経済産業省は、次のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

(出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」(2024年9月改訂)。初出は「DX推進ガイドライン」2018年12月)

デジタルを使うこと自体が目的ではなく、変える対象は業務のやり方や組織、社内の風土にまで及びます。

紙をやめてデータにするだけでは、この定義でいうDXには届きません。

紙をデータに置き換えるデジタル化と、仕事の進め方まで変えるDXの違いを比べた図解

一方のAIは、Artificial Intelligence(人工知能)の略です。

総務省「令和元年版 情報通信白書」は、AIに確立した定義はないとしたうえで、次のように説明しています。

「AI」とは、人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じる情報処理・技術といった広い概念で理解されている

(出典:総務省「令和元年版 情報通信白書」)

いま中小企業の現場で使われているのは、この中でも生成AIと呼ばれるものです。

総務省「令和6年版 情報通信白書」では、生成AIを「テキスト、画像、音声などを自律的に生成できるAI技術の総称」と説明しています。

(出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」)

ChatGPTなどがこれにあたり、指示を出すと文章をつくったり、要約したり、分類したりできます。

特別な操作を覚えず、日本語で頼むだけで動くのが、これまでのITツールとの違いです。

AIが得意な3つのこと。文章をつくる・要約する・分類や予測をする

なぜ2つをセットで考えるのか?

AIとDXをセットで考えたほうがいいのは、AIの効き方が、DXの進み具合によって変わるからです。

AIだけを入れても効果は出ますし、指示を出せば文章の下書きも長い資料の要約もできます。

私(生井)が支援してきた中でも、「1人の作業が明らかに速くなった」という声はよく聞きます。

分かれ目になるのは、その効果が個人の中で止まるか、会社全体に広がるかです。

東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2026年6月発表)に、はっきりした数字があります。

DXの段階 全社的に導入・活用 個人レベルで活用
ITを差別化や競争力強化に活用している 47.6% 23.8%
紙や口頭のやり取りをITに置き換えている 7.3% 47.8%

(出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2026年6月発表)。主に東京23区内の中小企業1,272社の回答、生成AI活用状況はn=959)

同じAIを使っていても、DXが進んでいる会社では全社で回り、そうでない会社では個人の工夫で止まっています。

理由は、AIに渡す材料の差にあります。

売上や顧客の記録がデータで揃っていれば、誰が使っても同じ答えにたどり着けます。

紙や個人のメモのままだと、AIに渡す前の準備がその人の手作業になり、その人しか回せない仕組みになってしまいます。

どちらが先という話ではなく、DXが進むほどAIが効き、AIがあるほどDXの手間が減る関係にあります。

DXで業務の流れを整え、その上でAIを使うことで、会社全体で活用しやすくなる関係の図解

人を増やさずに判断へ使える時間を取り戻すことが、AI×DXで目指す状態です。

【関連記事】AIとDXの違いとは?関係性と、中小企業がどちらから始めるかを解説

なぜ今、中小企業でAI×DXが進んでいるのか?

人を増やせないなかで売上を保つ方法として、AI×DXが現実的な選択肢になってきたからです。

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」によると、正社員が不足していると回答した企業は50.6%でした。

(出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」(2026年5月発表)。全国2万3,083社を対象、有効回答1万538社)

半数の会社が、人が足りない状態のまま事業を回しています。

同社の「倒産集計 2026年上半期報」によると、人手不足を理由とした倒産は227件で、前年同期の202件から12.4%増え、上半期としては過去最多でした。

このうち従業員10人未満の企業が176件と、全体の約77.5%を占めています。

(出典:帝国データバンク「倒産集計 2026年上半期報(1月〜6月)」(2026年7月発表))

小さな会社ほど、1人抜けた影響が事業の継続に直結します。

こうした状況を背景に、AIを業務に入れる中小企業が増えてきました。

独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月)によると、中小企業のAI導入率は20.4%でした。

導入を検討している企業18.6%を合わせると、39.0%がAI導入に前向きという結果です。

(出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月)。全国の中小企業10,000社を対象、有効回答1,668社)

5社に1社が導入済みで、4割が動き始めている段階です。

正社員不足50.6%、人手不足倒産227件、AI導入率20.4%という中小企業の現状データ

中小企業庁「2026年版 中小企業白書」も、地域に根ざし現場現業型でスピード感のある中小企業にとって、AXを加速させることは人手不足を乗り越える大きな成長のチャンスだとしています。

(出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」)

規模が小さいほど決めてから動くまでが早く、そこは大企業に対して有利に働く部分です。

ただし、導入した会社が全部うまくいっているわけでもありません。

【関連記事】中小企業のWEB集客にAI活用が効く3つの理由|任せる仕事と判断する仕事の境界線

AI×DXで、具体的に何ができるのか?

AI×DXでできることは、大きく2つの方向に分かれます。

弊社では、集客を増やす取り組みを「攻め」、業務の手間を減らす取り組みを「守り」と呼んでいます。

項目 攻め(集客) 守り(業務効率化)
目的 問い合わせ・売上を増やす 手間と時間を減らす
代表的な使い方 広告文づくり、LP改善、来月の需要予測 議事録、レポート作成、見積書の下書き
効果の見え方 数ヶ月かけて数字に出る 導入した月から時間で出る
始めやすさ 判断材料が要る 1業務から試せる

先ほどの中小機構の調査では、AIの導入目的として「業務効率化/作業時間の短縮」が87.0%で最も多く、2位の「品質向上」32.3%を50ポイント以上上回りました。

まず守りから入る会社が圧倒的に多い、ということです。

AI×DXの攻め(集客)と守り(業務効率化)の目的・使い方・効果の違いを比べた図解

一方で同じ調査では、「付加価値創出」の効果について、AIが22.3%だったのに対し、従来のITツールは7.4%にとどまりました。

時間を削るだけでなく、新しい価値を生む面でもAIのほうが高く評価されています。

用途で見ると、次のあたりが中小企業でも回しやすい入口です。

  • 議事録:
    録音から要約、決定事項の一覧化までを自動化する
  • 需要予測:
    過去の実績から来月の件数を読み、仕入れや広告予算を決める
  • 採用:
    求人原稿づくりや応募者への連絡を軽くして、応募を増やす

私の経験上、守りで手が空いた分をそのまま放置すると、効果が数字に残らない印象があります。

空いた時間を攻めに回すところまでを、最初から設計に入れておくことが大事だと考えています。

【関連記事】中小企業のAI活用、何から始める? 攻めのDX(集客)と守りのAX(業務)で整理する

AI×DXの費用は、どのくらいかかるのか?

AI×DXの費用は、月数千円のツール利用から、月十数万円の伴走支援まで幅があります。

ざっくり分けると、次の3つのレンジになります。

  • 自社のツール利用だけ:
    月3,000円台〜(ChatGPTなどの汎用ツール)
  • 業務ごとの仕組み化まで:
    初期費用+月額で数万円〜10万円台
  • 集客と業務の両方を伴走支援:
    月15万円〜(みちしるべの支援料金)

※あくまで概算の例示です。支援範囲によって変わります。

AI×DXの費用を自社でのツール利用・業務ごとの仕組み化・伴走支援の3つのレンジで示した図解

金額の幅が大きいのは、AI×DXが買って終わりの商品ではなく、どこまで自社の業務に合わせて組むかで変わるためです。

見合っているかを判断するときは、削れた時間を金額に置き換えて、投資額と並べて比べると分かりやすくなります。

補助金は使えるのか?

AI×DXの導入に使える補助金はあります。

ただし対象になるのは、会計・販売管理・予約・顧客管理といった業務プロセスを持つITツールの導入費用です。

ChatGPTのような汎用AIツールを単体で契約するだけでは、対象にならない場合が多くなります。

もう1つ気をつけたいのが、補助金は後払い(精算払い)だという点です。

採択されても、いったんは費用の全額を自社で立て替える必要があります。

補助金の対象になりやすい業務プロセスを持つITツールと、対象になりにくい汎用AIツール単体契約の違い

【関連記事】

AI×DXは、何から始めればいいのか?

いきなりツールを選ぶのではなく、今ある業務を書き出すところから始めるほうが、遠回りに見えて早く進みます。

大きく6つの段取りに分けられます。

AI×DXの進め方6ステップ。業務の棚卸しから他業務への展開までの流れ図

ステップ1:業務の棚卸しをする

誰が、どの仕事に、月何時間使っているかを一覧にします。

ここが曖昧なままだと、後の判断が全部感覚になります。

業務の棚卸しで書き出す3項目。誰がやっているか・どの仕事に時間がかかるか・月に何時間使っているか

【関連記事】AI導入前の業務棚卸しのやり方|削減効果が変わる優先順位の付け方

ステップ2:AIで取り組む業務を選ぶ

書き出した業務を、かかっている時間とAIに任せやすさの2軸で並べます。

時間が長くて、手順が決まっている業務から選ぶのが定石です。

かかる時間とAIへの任せやすさの2軸で、最初に選びたい業務を判断する図解

ステップ3:AIに任せる部分と、人が判断する部分を分ける

AIには下書きまでを任せ、最終確認は人が行う形にします。

この線引きを先にしておくと、品質を保ったまま進められます。

AIに任せる作業と、人が判断する作業の分け方を示した図解

ステップ4:作業に合ったツールを選ぶ

文章づくり、予測、音声の書き起こしなど、業務によって向くツールが変わります。

ステップ5:小さく試して、効果を時間とROIで確認する

全社で一斉に始めず、1業務・1ヶ月で結果を見ます。

削れた時間を金額に置き換えると、続けるかどうかを数字で判断できます。

ステップ6:お試しで終えず、本格導入を判断する

効果が確認できたら、同じやり方を他の業務にも広げます。

ここを飛ばすと、試しただけで終わってしまいます。

効果を確認し、手順を残し、他業務へ広げるまでの3段階を示した図解

【関連記事】中小企業のAI×DXの進め方|何から始めるかを6ステップで解説

ここまでで全体像がつかめたら、あとは自社のどこに当てはめるかの判断です。

AI×DXのツールは、どう選べばいいのか?

ツールは単体の性能で選ぶより、今使っている仕組みに合わせて選ぶほうが失敗が減ります。

その前に、そもそもどんな種類があるのかを整理しておきます。

AIツールとDXツールは、何が違うのか?

一言でいうと、DXツールが記録する道具、AIツールがその記録を使って考える道具です。

項目 DXツール AIツール
役割 業務の記録・管理をデジタルにする 記録をもとに、つくる・分ける・予測する
会計ソフト、販売管理、予約システム、顧客管理、勤怠管理 ChatGPTなどの生成AI、需要予測AI、音声認識AI
使う場面 日々の入力と保存 文章づくり、要約、分類、来月の予測
入れる順番 先に整えておくとスムーズ 記録が揃っていれば、後から足せる

記録がバラバラなままAIだけを入れると材料が揃いませんが、記録さえ整っていればAIは後から足せます。

すでに会計ソフトや予約システムを使っているなら、その時点でDXの土台は半分できています。

記録するDXツールと、記録を使って考えるAIツールの役割の違いを示した図解

選ぶときの判断軸は?

判断軸は、今使っているものとつながるかどうかです。

Google WorkspaceやMicrosoft 365など、社内ですでに動いているものと連携できるかを最初に見ます。

基盤がバラバラなままAIだけ足すと、AIに渡す前の「データを集める作業」が新しく増えてしまいます。

一番高性能なAIを選ぶより、今の業務フローに接続できるAIを選ぶほうが、結果的に定着します。

機能の多さだけで選ぶ避けたい選び方と、今の仕組みとつながるかで選ぶ考え方の対比図

【関連記事】中小企業のAI・DXツール、おすすめを探す前に知りたい「基盤とAIの組み合わせ方」

AI×DXで、セキュリティは何を決めておけばいいのか?

中小企業がまず決めるのは、技術的な防御ではなく「何を入れないか」の線引きです。

東京商工会議所の同じ調査によると、生成AIの使用にあたっての課題として最も多かったのが「セキュリティの確保」で46.7%でした。

一方で、生成AI活用の指針・ガイドラインを「策定している」企業は7.7%にとどまり、「策定していない」が59.6%を占めています。

(出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2026年6月発表)。主に東京23区内の中小企業1,272社の回答)

不安は感じているが、ルールは決まっていない状態です。

セキュリティの確保を課題とする企業が46.7%、ガイドライン策定済みは7.7%という調査データ

入力した内容は、学習に使われるのか?

学習に使われるかどうかを分けるのは、料金を払っているかどうかではありません。

個人向けの契約か、法人向けの契約かで決まります。

たとえばOpenAIは、有料のPlusを含む個人向けサービスについて、入力内容をモデルの学習に使う場合があるとしています。

一方でChatGPT BusinessやEnterprise、APIについては、既定では学習に使わないと明記しています。

(出典:OpenAI「How your data is used to improve model performance」「OpenAI におけるエンタープライズプライバシー」。2026年7月時点)

同じ構造はGoogle GeminiやAnthropic Claudeにも見られ、個人向けの有料プランは無料版と同じ扱いになっているのが実態です。

※各社とも方針を随時更新しています。契約前に必ず公式ページで最新の内容をご確認ください。

設定でオフにすることもできますが、社員それぞれが自分で操作する必要があり、会社として一括では管理できません。

業務で本格的に使うなら、個人課金ではなく法人向けプランに揃えるほうが確実です。

個人向け契約と法人向け契約で、入力内容の学習利用の扱いがどう違うかを比べた図解

先に決めておきたい3つのこと

  • 入れない情報:
    顧客の氏名や連絡先、見積書、契約書、まだ公表していない数字
  • 使うアカウント:
    会社が契約した法人向けプランに揃えるのか、個人のアカウントでの業務利用も認めるのか
  • 出てきた答えの扱い:
    そのまま社外に出さず、必ず人が最終確認をする
生成AIを使う前に決めておきたい3つのこと。入れない情報・使うアカウント・回答の扱い

ルールは、使い始めてから作るより、最初の1業務を試す前に1枚だけ決めておくほうが早く済みます。

ここが曖昧なままだと現場が「触っていいのか分からない」状態になり、詳しい人だけが使う属人化に逆戻りしてしまいます。

【関連記事】AI社内ルールの作り方|機密情報の扱いと情報漏洩対策で最初に決めたい6つのこと

AI×DXがうまくいかない会社は、何でつまずくのか?

つまずきの多くは、ツールの性能ではなく、進め方の順番で起きています。

まず、うまくいっていない会社が実際にどのくらいあるのかを見ておきます。

商工中金「中小企業の生成AIの利用にかかる調査」(2026年3月発表)では、生成AIを積極的に活用している企業のうち、「今のところ効果はみられない」と答えた割合が19.3%でした。

導入における課題としては、「具体的な活用場面が不明」が35.6%で最多、「導入を推進する人材がいない」が32.0%と続いています。

(出典:商工中金「中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)」(2026年3月発表)。生成AI積極活用層 n=1,144)

積極的に使っている会社でも、5社に1社は手応えを感じられていません。

原因としてよく見るのは、次の3つです。

  • 目的を決めずに導入する:
    「AIを入れる」が目的になり、何が良くなったか誰も答えられない
  • 一気に全社へ広げる:
    現場が使い方を覚える前に反発が起き、そのまま自然消滅する
  • 一人の担当者に任せきる:
    その人が異動・退職した時点で、仕組みごと消える
AI×DXがうまくいかない3つの原因と、それぞれに対応する調査データ

中小機構の調査では、「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」に当てはまらないと答えた企業が83.3%にのぼりました。

自社と近い規模・業種の進め方が見えないまま、手探りで始めている会社が多いということです。

ツールを増やしても成果が動かないときは、たいてい導入の量ではなく、どこが詰まっているかの見立てが足りていません。

【関連記事】AI・DX導入が失敗する原因とは?よくあるつまずきと、根っこにある3つの理由

単発の効率化を、会社の仕組みに変えるには?

AI×DXが会社に残るかどうかは、うまくいったやり方を個人の工夫で終わらせないかどうかで決まります。

先ほどの東京商工会議所の調査では、生成AIを「個人レベルで活用」している企業が40.3%だったのに対し、「全社的に導入・活用」は17.8%にとどまりました。

商工中金の調査でも、課題として「一部部署や職員に知識・ノウハウが偏る」が14.7%、「業務プロセスに組み込めず、定着しない」が12.0%挙がっています。

(出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2026年6月発表)商工中金「中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)」(2026年3月発表))

誰かが個人で使えてはいるが、会社の仕事としては定着していない。

AIで作業が速くなること自体は、そこまで難しくありません。

難しいのは、その速さを翌月も、担当者が変わっても保つことです。

AIの使い方が個人に集中している状態と、会社の仕組みになった状態の対比図

置き場所と更新の担当まで決めて残すと、はじめて会社の資産になります。

ベテランの頭の中にしかなかった判断の順番も、同じやり方で外に出せます。

ここまで来ると、AIは「便利な道具」から「業務の一部」に変わります。

集客の判断と業務の手順を、同じ場所で回せる状態が、AI×DXの目指す形だと考えています。

【関連記事】

【事例1】大企業のAI×DX|AIでここまで変わる

AI×DXの効果は、作業時間が減ることと、経営判断の根拠が変わることの2つに出ます。

まずは、規模の大きな会社が公表している数字から見ていきます。

パナソニック コネクト|労働時間を年間44.8万時間削減

自社向けのAIアシスタント「ConnectAI」を国内全社員約11,600人に展開しました。

2024年の1年間で、44.8万時間の労働時間を削減したと公表しています。

利用回数は240万回、1回あたりの削減時間は28分でした。

(出典:パナソニック コネクト ニュースリリース(2025年7月))

NEC|議事録作成が平均30分から約5分に

社内向け生成AIを、チャットやWEB会議ツールと連携させました。

資料作成時間の50%削減、議事録作成時間の平均30分から約5分への短縮といった成果を公表しています。

(出典:NEC プレスリリース(2023年8月))

規模は違いますが、議事録づくりや資料づくりという決まった手順のある業務を選んで、そこにAIを当てているだけです。

同じ考え方は、社員が数名の会社でも成り立ちます。

【事例2】守りのDX|手間と時間が減った例

ここからは、みちしるべ自身と支援先の数字をお見せします。

22社分の広告レポート作成(みちしるべ自社)

AIが自動生成した広告レポートの「今月の課題と改善施策」画面 AIが自動生成した広告レポートの「次月アクションプラン」画面
Before After
22社分で約440分 約1分(99.7%削減)

数字を並べるだけだったレポートを、課題分析と次月の提案まで自動で書き起こす形に変えました。

【広告運用 AI導入事例】22社のレポート作成が440分→1分に。分析・提案までAIが自動生成

広告とLPの稼働チェック(みちしるべ自社)

広告とLPの稼働状況を一覧で表示する監視エージェントのダッシュボード画面
Before After
17〜20社分で約30分〜1時間 約1分(約60倍)

毎朝8時に自動で確認し、異常があればメールで知らせる形にしました。

【広告運用 AI導入事例】広告停止の見落としを防ぐ「LP監視エージェント」で確認工数を約60倍に圧縮

住宅リフォーム会社の見積書とメール対応(支援先)

Before After
月30時間 月18時間(約4割減/3ヶ月)

全業務を洗い出し、時間が長くAI化しやすい2業務だけに絞って導入しました。

AI導入前の業務棚卸しのやり方|削減効果が変わる優先順位の付け方

【事例3】攻めのDX|集客と判断が変わった例

攻めの側では、数字そのものより、判断の土台が変わったことが大きな成果になります。

ペット葬儀会社の件数予測ダッシュボード

ペット火葬の月別件数を予測するダッシュボードの予測結果詳細画面
項目 Before After
データ管理 紙・Excel・担当者の記憶 ダッシュボードで一元管理
広告予算の決め方 前年踏襲・直感 目標件数から必要額を逆算
月別の予算配分 毎月同額 季節性を反映して自動で最適化

年間数千件規模の火葬データをもとに、来月・来期の件数を予測できる形に組み直しました。

作業時間が減った話ではなく、社長の判断の土台そのものが入れ替わった事例です。

【ペット葬儀 AI×DX導入事例】感覚経営から数字経営へ。火葬件数予測ダッシュボードを構築

地域密着の店舗ビジネス(支援先)

Before After
LINE登録 月60件 月120件(6ヶ月)

LPを作り直し、登録後の案内から予約までの流れを組んでから、広告を再配置しました。

中小企業のためのCOO代行とは|AIで仕組み化する攻めと守りの右腕

※みちしるべの事例の数字はいずれも個別の事例であり、成果を保証するものではありません。業種や規模によって結果は異なります。

攻めのDXは、AIだけで完結する話ではありません。

広告やLPをどう組み立てるかという土台が、成果を大きく左右します。

その具体例は、次の実績でも公開しています。

広告レポート作成・見積書とメール対応・広告予算と需要予測の3事例のBefore→After比較

大企業も中小企業も、共通しているのは同じ点です。

毎朝の確認、月初のレポート、年に一度の予算決めという決まった業務を先に洗い出したから、AIを当てる場所が決まりました。

【関連記事】中小企業のAI×DX事例|「何に使えばいいか分からない」が消える、業務改善の実例集

ここまで読んだあなたへ

ここまでの記事の3つのポイント

AI×DXでいちばん差がつくのは、AIの知識量ではなく、自社のどの業務から当てるかを決められるかどうかだと感じています。

ただ、この「どこから当てるか」を自社だけで決めるのは、思っているより大変です。

8割を超える中小企業が「自社に近い活用事例の情報が足りない」と答えています。

比べる相手がいないまま、自社の業務だけを見て順番を決めることになるからです。

みちしるべコンサルティング株式会社が提供しているのは、集客改善と業務改善の両方を、提案から仕組み化までAIで一気通貫に支援する「経営オペ」です。

広告会社に頼めば集客だけ、システム会社に頼めば業務だけの話になりがちです。

弊社は、その両方を1本の線でつないだ状態で設計します。

代表の生井は、以前ペット葬儀事業を運営し、福岡エリアでNo.1まで育てた経験があります。

どの数字を見て、どこに投資を寄せるかという、経営者側の目線で一緒に考えます。

  • まだ何も触っていない方:
    月数千円のツールで、1業務だけ試すところから一緒に選べます
  • 試したが続かなかった方:
    どこで止まったかを整理し、仕組みとして残す形に組み直せます
  • 集客と業務の両方を見直したい方:
    優先順位を決めるところから支援できます

もし「うちはどの業務から手をつければいいのか」と感じていたら、まずは公式LINEにご登録ください。

業種と今の状況を教えていただくだけで、「まずはここから」を無料で診断します。

診断では、最初に手をつけると効果が出やすい業務を、理由と他社の進め方を添えてお伝えします。

状況別に、最初に取り組む1業務をどう決めるかを示した図解

「いきなり相談はまだ早いかな」という方には、サービスの内容がわかる資料もお配りしています。

よくある質問

Q1. AIとDXは、どちらから先に手をつければいいですか。

業務の棚卸し(DX側)が先です。

AIから入ると、どの業務に効くかが決まらないまま道具だけが増えます。

Q2. 社内にITに詳しい人がいなくても、AI×DXは進められますか。

進められます。

最初の一手は業務の書き出しなので、必要なのはITの知識より、自社の仕事を分かっていることです。

Q3. AI×DXは、どのくらいの期間で効果が出ますか。

守り(業務効率化)は、早ければ導入した月から時間として出ます。

攻め(集客)は数ヶ月かけて数字に出る傾向があります。

まとめ

AI×DXを始めるまでの全体の流れ

AI×DXは、AIが使えることを前提に、仕事の流れそのものを組み直す取り組みです。

AIだけでも作業は速くなりますが、その効果が会社全体に広がるかどうかは、DXの進み具合で変わります。

まずは業務を書き出し、時間の長い1業務から小さく試すのが、中小企業にとって現実的な始め方です。

うまくいった手順を個人の工夫で終わらせず、置き場所と更新の担当まで決めると、会社の資産として残ります。

作業時間ではなく空いた時間の使い道、売上ではなく利益で見ると、AI×DXの判断はぐっとシンプルになります。

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