この記事で分かること
- 訪問看護の採用が難しい、業界ならではの3つの理由
- 新規開設ステーションがInstagramで応募を集めた実例
- ショート動画・LP・フィードで「どんな人と働くか」の不安を解消した方法
- 約2ヶ月で応募20名・8名内定・1人あたり約1.3万円の成果
読了時間:約8分

監修:
合同会社みちしるべ 代表
生井 聖人(なまい まさと)
マーケティング歴10年。中小企業のAI×DX支援を専門に、感覚経営から数字経営への移行を伴走支援している。

訪問看護は、看護師の採用がとくに難しい分野です。
経験者の数が限られ、働き方のイメージも伝わりにくいため、求人を出しても応募が集まりにくいのが実情です。
この記事では、沖縄で新しく開設された訪問看護ステーションが、Instagramのショート動画を中心としたWEB集客で、短期間に仲間を集めた事例をご紹介します。
オープン時は4名だったステーションのもとに、約2ヶ月で20名の応募が集まり、8名の内定承諾につながりました。
なぜ採用が難しいのか、何をしたのか、結果どうなったのかを、順番に整理します。
訪問看護の採用、こんな壁にぶつかっていませんか?
訪問看護の採用には、ほかの職種とは少し違う、特有の壁があります。
- 訪問看護の経験者からの応募が、そもそも来ない
- 「ひとりで訪問できるか不安」「どんな人と働くのか分からない」と、応募の前に敬遠される
- 紹介会社に頼ると費用が重いが、自社で応募を集める方法も分からない
特に新しく開設したステーションでは、知名度も実績もない中で「まず一緒に働く仲間をどう集めるか」が、最初の大きな関門になります。
ご支援先の背景
今回ご紹介するのは、沖縄で新しく開設された訪問看護ステーションの採用支援事例です。
開設したばかりで、まず一緒に働く仲間を集める必要がありました。
- 地域:沖縄
- 業種:訪問看護ステーション(新規開設)
- 募集職種:訪問看護師
- 開設時のスタッフ:4名
- 今回の採用広告費:約10万円
立ち上げ期で知名度も実績もない中、どうやって応募を集めるかが課題でした。
訪問看護の採用が難しい3つの理由
訪問看護師の採用が難しいのには、業界ならではのはっきりした理由があります。
大きく3つに整理できます。
理由1:そもそも看護師全体が採用難
看護師は、どの医療・介護の現場でも引く手あまたです。
看護職全体の求人倍率は2.51倍と、約10年ぶりの高い水準でした。
(出典:日本看護協会「2024年度 ナースセンター登録データに基づく分析」2025年)
求職者1人を複数の職場が取り合っていて、母集団からして採用が難しくなっています。
理由2:訪問看護の施設が急増し、経験者を奪い合っている
訪問看護ステーションの数は、ここ十数年で大きく増えています。
全国の訪問看護ステーションは2025年4月時点で18,743件と、15年連続で増加し、2012年以降で約3倍になりました。
(出典:一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和7年度 訪問看護ステーション数調査」2025年)
施設は増えても、訪問看護を担える経験者の供給は追いついていません。
その結果、訪問看護ステーションの求人倍率は4.54倍と、施設の種類別でもっとも高い水準でした。
(出典:日本看護協会「2024年度 ナースセンター登録データに基づく分析」2025年)
限られた経験者を、増え続ける施設が奪い合っているのが実情です。
理由3:オンコールやひとり訪問など、働き方が敬遠されやすい
訪問看護は一人で利用者宅を訪問し、その場で適切な判断と対応が求められます。
そのため、ブランクのある方や経験の浅い方は、応募をためらいがちです。
さらに、オンコール(夜間や休日に電話を受け、必要なら自宅から訪問する待機当番)を行うステーションでは、夜間待機の負担もあります。
こうした働き方が応募前に伝わらないと、実際以上に大変そうに見えて、敬遠されてしまいます。
裏を返せば、働き方を正しく伝えられれば、応募につながる余地があるということです。
Instagramのショート動画を中心にした3つの施策
応募が集まらない状況を、「応募を待つ」から「自社から届ける」に変えたのが、今回の取り組みの中心です。
特に効いたのが、Instagramのショート動画でした。
具体的には、次の3つの流れで進めました。
施策1:動画広告で「働く人のリアル」を届ける
まず、Instagramのショート動画(リール)で、訪問看護の現場を発信しました。
反応がよかったのは、次のようなテーマです。
- 地方から沖縄へ移住した看護師が、今の環境で感じているやりがい
- 転職して、前の職場と変わったこと
- 訪問看護そのもののやりがい
こうした「働く人のリアル」は、短い動画ととても相性がよく、多くの人に届きました。
動画を見て興味を持った人を、求人専用のLP(ランディングページ、応募につなげる1枚のページ)へ案内する流れをつくりました。
施策2:LPとフィードで「どんな人と働くのか」の不安を解消
次に、LPとフィード投稿で、応募前のいちばんの不安に答えました。
看護師にとって「誰と働くか」は、想像以上に大きな決め手です。
実際、日本看護協会の調査では、看護職が働き続けるうえで重要視することの上位に「職場の人間関係が良い」が48.5%(約半数)で挙がっています。
そこでLPには、スタッフや実際に働く様子の写真を多めに載せ、人柄を大切にしている雰囲気が伝わるようにしました。
あわせてフィードでは、「訪問看護師に向いてる人」「訪問看護のあるある」「質問コーナー」など、応募を考える人が気になる疑問を、網羅的に解消できる投稿を並べました。
「ここでなら、自分も働けそう」と感じてもらうことが、応募の後押しになりました。
施策3:応募から面接までの導線を整え、取りこぼしを防ぐ
最後に、応募が来てから面接までの流れを整えました。
中途採用では、連絡や選考のスピードが結果を大きく左右します。
求職者が転職活動にかけられる時間は限られているため、応募への返信は当日〜翌日が望ましく、選考が遅いほど辞退が増えるとされています。
(出典:Alternative Work「選考スピードと内定辞退」2025年 ほか中途採用の実務情報)
そこで、応募への返信、面接日程の調整、見学の案内までの流れをあらかじめ整理し、応募を取りこぼさないようにしました。
私(生井)の支援経験でも、ここを整えるかどうかで、同じ応募数でも採用できる人数が変わってくると感じています。
採用の成果|2ヶ月で応募20名・8名内定
Instagramのショート動画を中心としたWEB集客の結果、運用開始から約2ヶ月で応募20名を集め、8名の内定承諾につながりました。
オープン時は4名だったステーションに、新しい仲間が加わりました。
採用広告費は約10万円で、1名あたりにすると約1.3万円です。
看護師を人材紹介で採用すると、紹介手数料が年収の20〜30%(1人あたり数十万円〜)になることもある中で、広告費ベースでは大きく費用を抑えられました。
(出典:税理士法人辻総合会計「看護師紹介手数料の相場」2026年 ほか各社の公開情報)
よくある採用のやり方と、今回の取り組みを並べると、違いが分かりやすくなります。
| 項目 | よくある訪問看護の採用 | 今回の取り組み |
|---|---|---|
| 応募の集め方 | 求人媒体・人材紹介で「待つ」 | Instagram動画で自社から「届ける」 |
| 伝える内容 | 給与・休日などの条件が中心 | 働く姿・人柄・やりがい |
| 応募者の不安 | 「どんな人と働くか」が分からない | LP・フィードで事前に解消 |
| 1人あたり採用コスト | 数十万円〜(紹介手数料) | 約1.3万円(広告費ベース) |
| 採用の主導権 | 紹介会社に依存 | 自社で回せる |
ここまでの全体像をつかんだら、あとは自社にどう当てるかです。

なぜこの成果が出たのか
応募が集まったのは、採用難の職種ほど効く「届け方」と「見せ方」を変えたからだと考えています。
ポイントは3つあります。
理由1:「待つ」採用から「届ける」採用に変えた
応募を待つのではなく、ショート動画で自社から候補者に届けにいきました。
採用が難しい職種ほど、待っているだけでは応募が集まりにくいためです。
求人サイトでは、どうしても知名度の高い会社に目が行きがちです。
しかしWEB広告の場合、他の会社と横並びで比較されるのではなく、「なんか面白そうな会社だな」と思ってもらえればクリックされます。
つまり、知名度に関係なく勝負できる仕組みが作れます。
【関連記事】中小企業が知っておくべき「WEB広告×採用」の新常識
理由2:条件だけでなく「働く姿」と「人柄」を見せた
給与や休日などの条件は、どの事業所も似た内容になりがちです。
差がついたのは、一緒に働く人や職場の雰囲気が、応募前に伝わったことでした。
看護師にとって人間関係は、働き続けるうえで重視される要素の上位です。
「誰と働くか」が見える状態をつくれたことが、応募の決め手になりました。
応募前から会社の雰囲気を知ることで、入社後の「こんなはずじゃなかった」が起きにくくなります。
【関連記事】採用SNS vs 求人媒体|応募の”質”が変わる理由
理由3:この成果は、AI×DXで「再現できる仕組み」にできる
今回の成果はWEB集客によるもので、AIが出した数字ではありません。
ただ、うまくいった動画のテーマやLPの見せ方をAIで型にできれば、次の採用でも同じ動きをくり返しやすくなります。
私(生井)の支援経験でも、一度きりの成功で終わらせず、仕組みとして残せた会社ほど、採用が安定していくという印象があります。
採用を「攻め(応募を増やす)」と「守り(手間を減らす)」に分けてAIで型化する考え方は、別記事で詳しく紹介しています。
【関連記事】中小企業の採用をAI×DXで変える|応募を増やし、手間を減らす進め方
貴社でも、同じ進め方を取り入れませんか?
今回お伝えしたのは、採用が難しい職種でも、「届け方」と「見せ方」を変えれば応募は集まる、という具体例です。
ご自身の状況によって、最初の一歩は変わります。
- 応募がそもそも来ない:
求人原稿と発信から見直す - 応募はあるが対応に手が回らない:
応募対応の効率化から始める - 採っても続かない:
働き方の伝え方と受け入れを整える
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よくある質問
Q1. 訪問看護師の採用に、Instagramは本当に効きますか?
採用が難しい職種ほど、応募を待つより自社から届けるほうが効きやすいです。
今回もショート動画とLPの組み合わせで、約2ヶ月で20名の応募につながりました。
Q2. 人材紹介と比べて、費用はどのくらい変わりますか?
看護師の人材紹介は、紹介手数料が年収の20〜30%(1人あたり数十万円〜)になることもあります。
今回の事例は広告費ベースで1人あたり約1.3万円に収まりました(媒体や状況により変わります)。
Q3. ITやSNSが苦手でも始められますか?
はい、始められます。
最初から完璧にやる必要はなく、まずは1つの動画や求人原稿から試せます。
AIを使えば、ネタ出しや下書きの負担も減らせます。
Q4. SNSはどのくらいの手間がかかりますか?
毎日たくさん投稿する必要はありません。
働く姿が伝わる投稿を続けることが大事で、テーマ出しや構成はAIで効率化できます。
Q5. 採用した人が定着するか心配です。
働き方や職場の雰囲気を応募前に正しく伝えることが、入職後のギャップを減らし、定着につながります。
今回も、オンコール体制や人柄を隠さず見せたことが結果につながりました。
まとめ
採用が難しい訪問看護師でも、「待つ」採用から「届ける」採用に変えれば、応募は集まります。
今回は約2ヶ月で応募20名、8名の内定承諾、1人あたり採用広告費は約1.3万円でした。
大事なのは、応募数だけでなく、働き方を正しく伝えて「入って続く人」を採ることです。
うまくいったやり方はAIで型にすれば、次の採用でもくり返せます。
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