この記事で分かること
- 採用を「攻め(応募を増やす)」と「守り(手間を減らす)」に分けて考える方法
- なぜ今、中小企業ほど採用にAIが必要なのか(最新データ)
- AIで求人原稿をつくる4ステップと、任せられること・任せられないこと
- 採用を単発のコストで終わらせず、仕組みに変える進め方
読了時間:約11分

監修:
合同会社みちしるべ 代表
生井 聖人(なまい まさと)
マーケティング歴10年。中小企業のAI×DX支援を専門に、感覚経営から数字経営への移行を伴走支援している。

求人を出しても応募が来ない。
来ても、しばらくすると辞めてしまう。
こうした状態を、「うちの業種だから」「地方だから」「仕方ない」と受け止めている経営者の方は多いように感じます。
ただ、私(生井)が現場を見てきた限り、採れない原因は景気や立地だけではありません。
「応募が来るのを待つ」「採用のたびにゼロからやり直す」という、これまでのやり方そのものが、負担を重くしている面があります。
裏を返せば、ここはやり方しだいで変えられる部分です。
この記事では、その採用をAIでどう軽くし、AI×DXでどう「毎回うまくいく仕組み」に変えていくかを、できるだけ具体的に整理します。
ITが得意でなくても、今日から試せる一歩までイメージできるように書きました。
採用にAIを使うときは、「攻めのDX」と「守りのDX」に分けて考える
採用にAIを取り入れるときは、応募を増やす攻めのDXと、採用の手間を減らす守りのDXの2つに分けて考えると、自社が何から手をつけるべきかが見えてきます。
私たちみちしるべは、採用をこの2軸で整理することを、支援の出発点にしています。
理由はシンプルで、多くの会社のつまずきは、応募が来ないのか対応が回らないのか(あるいはその両方か)、原因の場所がはっきりしていないことにあります。
「応募が来ない」のか、それとも「応募は来るのに対応が回らない」のか。
ここがはっきりすると、AIの使いどころも自然と決まります。
攻めのDX:応募の入口を広げる(求人原稿・SNS・採用ページ)
攻めの側は、「そもそも応募が来ない」を解決する部分です。
応募が来ない原因の多くは、求人原稿が条件の羅列になっていて、働く姿がイメージできないことにあります。
AIで求人原稿をつくるときは、次の4つの流れで進めると質が安定します。
- どんな人に来てほしいかを、先に決める
即戦力がほしいのか、未経験でも丁寧に育てたいのか。この一言を最初に決めておくと、原稿の方向がぶれません。 - その人物像をAIに伝えて、たたき台を作る
たとえば「未経験でも安心して働けることが伝わる求人原稿を、3パターン作って」と頼むと、数十秒でたたき台が出てきます。一から書くより、選んで直すほうがずっと早く進みます。 - たたき台に、自社にしかない情報を足す
給与や休日などの条件は、どこも似たような内容になりがちです。差がつくのは「働く姿が見える情報」です。先輩スタッフの一言、1日の仕事の流れ、入社後のサポートなど、自社にしか書けない部分を人の手で足していきます。ここはAIには書けない、いちばん大事な工程です。 - 出す前に、AIで見直す
できた原稿をAIにもう一度見せて、2つの目で確認します。1つは「最初に決めた人物像に、ちゃんと響く内容か」。もう1つは「年齢や性別で誤解されそうな表現や、媒体で弾かれそうな言い回しがないか」です。求人媒体は審査が年々厳しくなっていて、不適切と判断されると掲載が止まることもあるため、出す前の下チェックが効きます。
この「決める → 作る → 足す → 見直す」の流れを一度作っておくと、次の募集からはなぞるだけで済みます。
求人原稿の型ができたら、同じ考え方でSNSや採用ページの文章にも広げられます。
ネタ出しや下書きはAIが得意なので、ゼロから書くより負担が軽くなります。
守りのDX:採用の手間を減らす(応募対応・日程調整・選考の下準備)
守りの側は、「採用に手が回らない」を解決する部分です。
採用では、応募が来てからの返信スピードが、そのまま結果を左右します。
返信が遅れると、応募者は他社へ流れてしまいます。
とはいえ、社長が現場に出ていると、すぐの返信は難しいものです。
そこで、「応募ありがとうメール」「面接日程の調整メール」「お見送りの連絡」の型を、AIであらかじめ作っておきます。
そうすれば、スマホからコピペして少し直すだけで、その場で返信できます。
応募書類から経歴の要点を抜き出す下ごしらえも、AIが手伝えます。
こうした繰り返しの事務作業こそ、AIで時間を減らせる余地が大きい部分です。
なぜ今、中小企業の採用にAI×DXが必要なのか
採用が年々難しくなっていて、少人数で回す中小企業ほど、時間とお金の負担が重くのしかかっているからです。
まず、全体の数字から見てみます。
厚生労働省によると、2026年4月の有効求人倍率は1.18倍でした。
(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年4月分)」2026年)
求職者1人に対して1件以上の求人がある、人を採りにくい状態が続いています。
ただ、本当に厳しいのは「現場の仕事」です。
同じ厚生労働省の職業別データを見ると、職種によって倍率は大きく変わります。
- 建設躯体工事(型枠・とび・鉄筋など):8.10倍
- 建築・土木・測量技術者:7.05倍
- 土木:6.95倍
- 介護サービス職:3.41倍
- 看護職(全体):2.51倍
(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年2月分・参考統計表)」2026年。介護サービス職は同統計の令和7年5月分、看護職は日本看護協会「2024年度 ナースセンター登録データに基づく分析」2025年)
全体は約1.2倍でも、現場職はその数倍です。
つまり、求職者1人を何社もが奪い合っているのが実態です。
そしてこの人手不足は、もう「採用の悩み」では収まらなくなっています。
帝国データバンクによると、2025年の人手不足による倒産は427件で、3年連続で過去最多を更新しました。
(出典:帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年)」2026年1月)
人が採れないことが、会社の存続に直結し始めている、ということです。
一方で、中小企業では採用の実務が、社長や少人数の担当に集中しがちです。
忙しくなると採用が後回しになり、また人手が足りなくなる。
私(生井)の支援経験でも、この悪循環に陥っている会社は少なくないという印象があります。
だからこそ、限られた人手で採用を回すために、AIで手間を減らし、うまくいったやり方を仕組みとして残すAI×DXが効いてきます。
採用でAIにできること・できないこと
AIは採用の「下ごしらえ」と「入口を広げる」のは得意ですが、人を見極めて口説く最後の部分は、人の仕事として残ります。
ここの線引きを最初に押さえておくと、AIに任せすぎて失敗する、ということが避けられます。
AIに任せやすいのは、次のような作業です。
- 求人原稿やスカウト文のたたき台づくり
- 応募者への返信文や日程調整メールの下書き
- SNS投稿やブログのネタ出し
- どの媒体から応募が多いか、といったデータの整理
逆に、人が担うべきなのは次の部分です。
- 候補者の人柄や、自社との相性の最終判断
- 面接での見極めと、入社の意思を固めてもらう対話
- 自社の魅力を、自分の言葉で本気で語ること
AIは時間のかかる準備を肩代わりする道具で、最後の判断は人が握る。
この役割分担が、いちばん失敗が少ないと考えています。
採用×AI×DXの進め方は3ステップ
いきなりツールを入れるのではなく、「今どこに時間がかかっているか」を見てから、AIを当てる順番がおすすめです。
最初から完璧な仕組みは必要ありません。
はじめのうちは、ChatGPTのような身近なツールひとつでも十分です。
慣れてきたら、うまくいった原稿や返信文を「型」として貯めていく。
この順番なら、無理なく続けられます。
進め方は、大きく3つのステップで考えます。
ステップ1:採用業務を棚卸しする
まず、1〜2週間、採用に使った時間をざっくりメモするだけでも見えてきます。
求人作成にどれくらい、応募1件への対応に何分、面接調整に何往復かかっているか。
書き出すと、「思っていたより応募対応に時間を取られていた」といった発見が出てきます。
ステップ2:攻めと守りのどちらが詰まっているかを見極める
次に、「応募が来ない(攻め)」のか「応募は来るのに対応が回らない(守り)」のか、つまずきの場所を1つに絞ります。
両方に同時に手を出すより、効きそうな片方から始めるほうが、無理なく続けられます。
ステップ3:AIで型をつくり、仕組みに落とす
最後に、うまくいったやり方をAIの「型」にして、毎回呼び出せる状態にします。
たとえば、反応の良かった求人原稿や返信文を、AIへの指示文(プロンプト)として保存しておきます。
次の募集では、それを呼び出して少し直すだけで済みます。
慣れてきたら、どの媒体から応募が来たか、どの原稿の反応が良かったかも記録しておくと、次の採用の見通しが立てやすくなります。
ここまで来ると、担当者が変わっても回る「仕組み」に近づいていきます。
これが、採用における守りのDXと攻めのDXをつなぐ部分です。
ここまでで全体像が見えたら、あとは自社のどこに当てるかの判断です。

採用を「単発のコスト」で終わらせず、利益に変えるには
採用は一度きりの出費ではなく、毎年くり返す投資なので、「採れた・採れない」を運任せにせず、再現できる仕組みにすることが利益につながると考えています。
採用にかかっているお金は、思っているより大きいことがあります。
たとえば看護師を人材紹介で採用すると、紹介手数料は年収の20〜30%が目安で、1人あたり数十万円〜100万円を超えることもあります。
(出典:税理士法人辻総合会計「看護師紹介手数料の相場と抑え方」2026年 ほか各社の公開情報)
人材紹介には、探す手間が省けるという利点もあります。
ただ、毎年その単価を払い続けるのか、自社で応募を集める仕組みに少しずつ投資するのかでは、数年で差が開いていきます。
さらに見落としがちなのが、社長自身の時間です。
採用に追われる時間を、本業や利益を生む仕事に戻せること自体が、大きなリターンになります。
採用も、「応募が何件来たか」ではなく「何人が入社して、続いたか」で見ていく。
その視点に立つと、AIで型化して再現できる仕組みづくりが、いちばん効いてくると感じています。
みちしるべの採用支援事例(訪問看護ステーション)
採用が難しいとされる訪問看護師の採用を、WEB集客でお手伝いした事例があります。
求人広告とSNS運用を組み合わせたところ、運用開始から約2ヶ月で応募20名を集め、8名の内定承諾につながりました。
採用広告費は約10万円、1名あたりにすると約1.3万円でした。
看護師を人材紹介で採用すると1人あたり数十万円〜になることもある中で、低コストで採用まで進められた事例です。
この成果はWEB集客によるものですが、うまくいった求人原稿やSNSの当て方をAIで型にしていけば、次の採用でも同じ動きをくり返しやすくなると考えています。
具体的な施策やBefore・Afterは、別記事で詳しく紹介しています。
ここまで読んだあなたへ
採用は、一度やり方をつかめば、毎年の負担をぐっと軽くできる仕事だと感じています。
そのための最初の一歩は、今の状況によって変わります。
- 応募がそもそも来ない:
求人原稿と発信(攻め)から見直す - 応募はあるが対応に手が回らない:
応募対応の効率化(守り)から始める - 採っても続かない:
採用基準と受け入れの流れを整える
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業種と今の状況を教えていただくだけで、「まずはここから」を無料で診断します。
診断では、攻めと守りのどちらを先に整えると効きそうか、具体的にお返しします。
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よくある質問
Q1. AIを使えば採用の応募は本当に増えますか?
AIだけで応募が増えるわけではありません。
AIは求人原稿や発信のたたき台づくりを助ける道具で、届ける媒体や応募の受け皿とセットで整えることで、効果が出やすくなります。
Q2. ITが苦手でも採用にAIを使えますか?
はい、使えます。
最初から全部を自動化する必要はなく、求人原稿の下書きなど、1つの作業から試す形で十分始められます。
Q3. 採用にAIやWEB集客を使うと、費用はどのくらいかかりますか?
媒体や規模によって変わります。
ただ、人材紹介の手数料(看護師なら年収の20〜30%が目安)と比べると、自社で応募を集める形は1人あたりの単価を抑えやすい傾向があります。
Q4. AIに任せると、採用の質は下がりませんか?
見極めや最終判断は人が行うため、質はそこで保てます。
AIは準備の時間を減らす道具、という位置づけが安全だと考えています。
Q5. 何から始めればいいですか?
まずは採用業務の棚卸しから始めるのがおすすめです。
どこに時間がかかっているかが分かると、攻めと守りのどちらにAIを当てるかを決めやすくなります。
まとめ
採用×AI×DXは、応募を増やす「攻め」と、手間を減らす「守り」に分けると整理できます。
人手不足が会社の存続に関わる時代だからこそ、採用を運任せにせず、仕組みに変えていくことが効いてきます。
まずは採用業務を棚卸しして、つまずきの場所を1つ決めるところから始めるのがおすすめです。
採用は「応募が何件来たか」ではなく「何人が入社して続いたか」で見ていくと、ぶれません。
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