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中小企業のAIマーケティング事例|実際の企業の使い方と、業種別の活かし方を解説

AI×マーケティング

この記事で分かること

  • 実際の企業がAIマーケティングをどう使い、どんな成果が出たか
  • 製造・卸・士業・サービス業・クリニックの業種別の活かし方
  • AIを入れて終わりにせず、仕組みにして定着させる重要性

読了時間:約10分

生井聖人

監修:
合同会社みちしるべ 代表

生井 聖人(なまい まさと)

マーケティング歴10年。中小企業のAI×DX支援を専門に、感覚経営から数字経営への移行を伴走支援している。

AIでマーケティングを加速させたい。

そうは思っていても、どこに使えばいいのか分からない。

出てくるのは大企業の事例ばかりで、うちのような中小企業に当てはまるものが見つからない。

そんな声を、経営者の方からよく聞きます。

この記事では、実際に公開されている企業の事例を取り上げ、中小企業ならどう応用できるかをセットでお伝えします。

あわせて、AIは入れるだけでは続かず、仕組みにして定着させてこそ成果になる、という視点も通していきます。

事例を知ることが、中小企業の集客の近道になる

事例を知ることが近道になるのは、中小企業のAIマーケティングでつまずく一番の原因が「自社での使い道が見えないこと」だからです。

PwC Japanグループの調査では、生成AIを活用していても効果が期待を上回った企業は限られ、成果が出る企業と出ない企業の二極化が続いていると報告されています。

(出典:PwC Japanグループ「生成AIに関する実態調査2025春」)

同じツールを使っても、使いどころが定まっている会社ほど成果につながりやすい、ということです。

BtoBに絞った調査でも、活用は着実に広がっています。

才流の調査では、BtoBマーケターの約7割が、生成AIを「ときどき」以上の頻度で使っていました。

(出典:才流「BtoBマーケティングにおける生成AI活用実態調査2025」(2025年9月発表、マーケター600名))

BtoBマーケターの約7割が生成AIをときどき以上の頻度で活用しているデータ

私自身、これまで中小企業の集客を支援してきた中で、いきなり全部を変えようとするより、まずは「AIで何ができるか」を押さえることが動き出しの近道だと感じています。

AIマーケティングでできることは、コンテンツづくりとデータ活用に分かれる

中小企業のAIマーケティングでできることは、大きく「コンテンツづくり」「データ活用」の2つに整理できます。

実際の活用も、この2つが中心です。

HubSpotの調査では、日本のマーケターの活用上位はデータ分析(37%)とコンテンツの文章作成(35%)でした。

(出典:HubSpot・Adobe調査をまとめたサイトエンジンの記事(2025年))

AIマーケティングはコンテンツづくりとデータ活用の2つに分かれることを示す図

1. コンテンツづくり(集客の中身をつくる)

文章や画像など、集客に使う中身をAIで効率よく作る使い方です。

ひとくちに文章といっても、用途ごとに分かれます。

  • ブログ・SEO記事のたたき台
  • SNS投稿の文章とアイデア
  • ホームページ・LP(商品紹介用の1ページ)の文章
  • 広告コピー・メルマガの文面
  • LINE公式アカウントのステップ配信(登録後に順番に自動で届くメッセージ)の文面
  • バナーやSNS用の画像などのクリエイティブ(画像生成)

BtoBであれば、営業・提案資料のたたき台づくりにも応用できます。

AIで作れるコンテンツの種類(ブログ・SNS・LP・広告メルマガ・LINE・画像)の一覧

2. データ活用(誰に何を届けるかを見極める)

たまった数字を読み解き、打ち手の精度を上げる使い方です。

代表的なのが需要予測です。

需要予測とは、過去の販売データや天候・曜日などをもとに、これから何がどれだけ売れそうかをあらかじめ見立てることです。

データに基づいて予測できると、仕入れや人員だけでなく、どの客層にいつ何を届けるかという集客の打ち手も見えてきます

人の手では時間のかかるデータ分析も、AIなら短時間で形にできます。

ここが、AIをマーケティングに使う大きなメリットです。

データを集めて傾向を読み、予測し、打ち手を決めるまでの需要予測の流れ

ほかにも、次のような使い方があります。

  • 見込み客の分析と、追いかける優先順位づけ
  • 口コミ・アンケートの分析

問い合わせ対応は「攻め」より「守り」の領域

問い合わせやメールの自動応答も、よく挙がる使い方です。

ただ、これは集客(攻め)というより、業務効率化(守り)に近い領域です。

私たちは、集客を伸ばすAIを「CMO AI(攻め)」、業務を効率化するAIを「CDO AI(守り)」と呼び分けています。

この攻めと守りの両方をAIで仕組み化し、定着まで伴走するのが弊社のAI×DX支援「経営オペ」です。

ここまでで全体像をつかんだら、次は実際の企業がどう使ったかを見ていきます。

実際の企業は、AIマーケティングをこう使っている

実名で公開されている事例を見ると、AIマーケティングは「コンテンツ制作」「新しい接点づくり」「データ活用」の3方向で成果が出ています。

(※中小企業で実名と数字まで公開された事例はまだ少ないため、ここでは公開されている企業事例を取り上げ、中小企業での応用の仕方もあわせてお伝えします)

実際の事例はコンテンツ制作・新しい接点づくり・データ活用の3方向に整理できる図

事例①ベネッセ|サイト・文章づくりを効率化した

ベネッセホールディングスは、「進研ゼミ 中学講座」のWEBサイト制作に、生成AIとノーコードツールを導入しました。

その結果、制作コストが約4割減り、制作期間は8週間から3週間に短縮されました。

(出典:株式会社ベネッセホールディングス ニュースリリース(2023年10月27日発表))

WEBに合った説明文やコピーをAIで生成し、担当者ごとの品質のばらつきをなくした点がポイントです。

ベネッセがAI活用で制作期間を8週間から3週間に、制作コストを約4割減らした流れ

中小企業への応用:
自社サイトの文章やブログ、商品説明のたたき台をAIで作り、人が仕上げる流れにするだけでも、制作の負担と外注費を抑えられます。

事例②資生堂アネッサ|AIキャンペーンで新しい接点をつくった

資生堂のブランド「アネッサ」は、画像生成AIを使った参加型キャンペーン「アネッサ落書きチャレンジ」を実施しました。

ロゴの太陽マークに自由に落書きすると、AIがその絵をアート作品に変えてくれる仕組みです。

このキャンペーンには数千人が参加し、約200点の作品がオンラインギャラリーに公開されました。

作品をSNSでシェアすると割引クーポンがもらえる流れにして、話題づくりと販促を同時に進めた点がポイントです。

(出典:36Kr Japan「資生堂『アネッサ』、アリババの生成AIモデルをマーケティングに活用」(2024年))

資生堂アネッサの参加型AIキャンペーン「落書きチャレンジ」で新しい接点をつくる流れ

中小企業への応用:
大規模なキャンペーンは難しくても、AIで作った画像やSNS投稿で、これまで届かなかった層への発信を低コストで試せます。

たとえば、季節商品やキャンペーンのビジュアルをAIで数パターン作り、SNSで反応の良かったものを本番に使う、という小さな試し方ができます。

事例③ローソン・セブン-イレブン|データ分析で需要を読んだ

コンビニ各社は、販売実績や天候などのデータをAIで分析し、発注や品ぞろえに活かしています。

セブン-イレブンは、AIが発注数を提案する仕組みを2023年春から導入し、発注にかかる作業時間を約4割減らしました。

ある試験店舗では、週に約10時間半かかっていた発注作業が約6時間半まで短くなり、空いた時間を売り場づくりに回した結果、売上が3%増えたと報じられています。

(出典:日経クロストレンド「セブン-イレブン『AI発注』の威力 店負担4割減」(2023年))

ローソンも、AIが発注数や値引き額を提案する仕組みで、1人あたり1日およそ2時間の作業時間を減らせたとしています。

(出典:CIO「Lawson taps AI to slim down ordering」(2023年))

コンビニが販売実績や天候データをAIで分析し発注や品ぞろえに活かす流れ

中小企業への応用:
たとえば飲食店なら、過去の売上・曜日・天気をもとに「明日の仕込み量」をAIに見立ててもらうだけでも、食材ロスと発注の手間を減らせます。

需要予測の具体的な進め方は、別の記事で詳しくお伝えしています。

【関連記事】AI需要予測で来月の売上を先読みする方法|中小企業がAI×DXで仕組み化する経営の作り方

事例④LIFULL HOME’S|チャットでの対話から物件を提案した

不動産情報のLIFULL HOME’Sは、AIとの対話で住まい探しを助ける「AIホームズくん」を提供しています。

利用者がチャットで9つの質問に答えると、AIがその人専用の「住まいのカルテ」を作り、条件に合う物件を「ぴったり度」順に提案します。

「日当たりがよくて静か」といった、キーワード検索では拾いにくい感覚的な希望も、AIがくみ取って候補を出してくれるのが特徴です。

さらにLINE版では、ChatGPTの技術を使い、自然な会話で24時間いつでも住み替えの相談ができます。

(出典:株式会社LIFULL ニュースリリース(2022年・2024年))

LIFULL HOME'Sが会話から希望を整理し、条件に合う物件をぴったり度順に提案する流れ

中小企業への応用:
自社サイトやLINEに会話型の案内を置けば、営業時間外でも、お客様の知りたいにその場で答えられるようになります。

中小企業だからこそ、AIマーケティングは武器になる

AIマーケティングは大企業の専売特許ではなく、むしろ小回りの効く中小企業ほど活かしやすいものです。

三重県伊勢市の老舗食堂「ゑびや大食堂」は、社員13名ほどの中小企業ながら、AIによる来客予測を軸にしたデータ経営で大きな成果を出しました。

10年で売上は約5倍、利益は約10倍になり、来客予測の的中率は95%を超えたと報告されています。

(出典:データのじかん(WingArc1st)(2022年))

老舗食堂ゑびやがデータ経営で売上約5倍・利益約10倍、来客予測の的中率95%超を実現した図

通行量や入店率、客層を数字で見て、メニューや看板を改善し続けたことが成果につながりました。

弊社の支援経験でも、規模の大小より「データを見て小さく試し、続けられるか」が成果を分けると捉えています。

【関連記事】中小企業のAIマーケティングで何ができる?できること・できないことを整理

業種別に見る、AIマーケティングの活かし方

業種によって、最初に効く使いどころは変わります。

代表的な5つの業種で、はじめの一歩になりやすい使い方を整理します。

製造・卸・士業・サービス業・クリニックの業種別AIマーケティング活用例

製造業

  • 技術や製品の強みを、お客様に伝わる言葉に直した製品ページ・事例紹介
  • 展示会や問い合わせの後に送るフォローメールの下書き
  • よくある技術的な質問から、FAQやブログ記事を量産
  • 受注データから、引き合いの多い業種・製品の傾向を分析

卸売業

  • 取引先ごとの発注傾向を分析し、提案のタイミングを最適化
  • 新商品の案内メールやカタログ文面のたたき台づくり
  • 取引先向けの提案資料の下書き
  • 定番品の需要予測で、欠品や過剰在庫を抑える

士業

  • 専門的な制度・手続きを、やさしく解説するブログ・コラム
  • 相談前の不安を解く「よくある相談」「お客様の声」ページ
  • セミナーや無料相談の告知文・メルマガ
  • 問い合わせメールへの一次返信の下書き

サービス業(飲食・美容など)

  • SNS投稿の文章と、クーポンやキャンペーンの画像
  • 口コミへの返信文の作成
  • 来店データから、リピートを促すメッセージづくり
  • 季節メニュー・新メニューの紹介文や写真の加工

クリニック・治療院

  • 症状や施術をやさしく説明する、患者さん向けコラムでの集患
  • 診療案内や予約導線のわかりやすいコピー
  • 再来院や定期検診のリマインドメッセージ
  • 予約・問い合わせの自動応答(こちらは集客より業務効率化寄りです)

うちの会社はどこからAIマーケティングを始めるべき?

業種が違っても、共通しているのは「今いちばん手が回っていない業務」から小さく始めることです。

ただ、手が回っていない業務をAIで効率化できても、それが集客や売上につながらなければ、優先順位はそこまで高くありません。

大事なのは、一度業務を分解して「何が必要で、何をやめていいのか」を整理したうえで選ぶことです。

その際は、次の3つの視点で選ぶのがおすすめです。

  1. AIの得意なことか
  2. 効果が見えやすいか
  3. 時間がかかっている業務か

こうした目線を持って、取り組む業務を選んでいくとよいと思います。

そのために欠かせないのが、業務の棚卸しです。

【関連記事】AI導入前の業務棚卸しのやり方|削減効果が変わる優先順位の付け方

ここまで読んだあなたへ

ここまでの記事の3つのポイント

今回お伝えしたかったのは、実際のAIマーケティング事例を「自社ならどう応用するか」に置き換える発想です。

ただ、どこから手をつけるかは、業種や規模によって変わってきます。

  • たまった顧客データを、集客に活かしきれていない会社
  • 発信と問い合わせ対応の両方に、手が回っていない会社
  • 一度きたお客様に、もう一度つながる仕組みがない会社

——これによって、「最初に手をつける1つ」がまったく変わります。

もし「うちの場合、何から始めればいい?」と感じていたら、まずは公式LINEにご登録ください。

業種・規模・今の状況を教えていただくだけで、「まずはここから」を無料で診断します。

「いきなり相談はまだ早いかな」という方には、サービスの内容がわかる資料もお配りしています。

みちしるべコンサルティング株式会社では、集客改善と業務改善の両方を、提案から仕組み化・定着までAIで一気通貫に支援する「経営オペ」を提供しています。

よくある質問

Q1. 中小企業がAIマーケティングを始めるなら、何から手をつければいいですか?

まずは時間がかかっている1つの業務を選ぶのがおすすめです。

ブログの下書きや、たまった顧客データの整理など、効果が見えやすい作業から小さく試すと、社内の納得も得やすくなります。

Q2. 専門の担当者がいなくても運用できますか?

少人数でも始められます。

今の生成AIは日本語で指示できるため、専任のIT担当がいなくても、社長や既存の担当者が日々の業務の中で使えます。

Q3. 費用はどのくらいかかりますか?

文章作成や分析であれば、月数千円程度の汎用ツールから試せます。

本格的に仕組み化する場合は別途費用がかかるため、まず小さく効果を確かめてから広げるのが現実的です。

Q4. 自社の業種でも、AIマーケティングは使えますか?

製造・卸・士業・サービス業・クリニックなど、業種を問わず使いどころはあります。

大切なのは、自社で時間がかかっている業務に当てはめることです。

Q5. AIを入れても続かない、という話を聞きます。どうすれば定着しますか?

担当者個人の使い方で終わらせず、手順やルールを決めて会社の仕組みにすることが大切です。

うまくいった使い方を型として残せば、人が変わっても回り続けます。

まとめ

AIマーケティング導入から定着までの全体像

中小企業のAIマーケティングは、実例を見ると「コンテンツづくり・データ活用」から成果が出ています。

ゑびやのように、大企業でなくても、小回りを活かして成果を出せます。

大事なのは、入れて終わりにせず、仕組みにして定着させることです。

追うべきはアクセス数ではなく問い合わせや受注、つまり売上ではなく利益につながる動きです。

まずは1つの業務から、AI×DXで集客から利益までをつなぐ一歩を試してみてはいかがでしょうか。

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