この記事で分かること
- AI導入補助金の中心「デジタル化・AI導入補助金」の概要
- ChatGPT単体が対象外になる理由
- 業務プロセスの数え方、IT導入支援事業者の正体
- 補助金の費用相場と注意点と、申請をスムーズに進めるコツ
- 持続化補助金など「集客・販促で使える補助金」
読了時間:約10分
「AIを入れたいけれど、いくらかかるのか」「補助金は使えるのか」。
私(生井)が経営者の方とお話しするとき、最も多くいただく質問の一つです。
特に「AIを補助金で導入する」と聞いて思い浮かべる制度は、実は万能ではありません。
この記事では、AI導入補助金の中身と費用相場、見落とされがちな別ルート、そして申請をスムーズに進めるコツまでを、正確に整理します。

監修:
みちしるべコンサルティング株式会社 代表
生井 聖人(なまい まさと)
マーケティング歴10年。中小企業のAI×DX支援を専門に、感覚経営から数字経営への移行を伴走支援している。
AI導入補助金とは?まず押さえる「デジタル化・AI導入補助金」とは?
AI導入の費用補助で中心になるのは、2026年に名称が変わった「デジタル化・AI導入補助金」です。
長く「IT導入補助金」と呼ばれてきた制度で、令和7年度補正予算事業から名称が変わりました。
(出典:中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領を公開しました」(2026年))
対象は、会計・販売管理・予約・顧客管理といった「業務プロセスを持つITツール」の導入費用です。
補助額と補助率はどのくらい?
通常枠の補助額は5万円から450万円、補助率は原則2分の1(条件により3分の2)です。
補助額の幅は、導入するツールが持つ業務プロセスの数によって変わります。
- 1プロセス以上:5万円以上150万円未満
- 4プロセス以上:150万円以上450万円以下
なお小規模事業者は、賃上げなど一定の要件を満たすと補助率が引き上がる場合があります。
(出典:中小機構「デジタル化・AI導入補助金2026の概要について」(2026年))
そもそも「1プロセス」とは何を指すのか?
ここでいうプロセスとは、ソフトの導入で効率化される業務の「工程」のことです。
公式の公募要領では、業務プロセスが次の6種類に分類されています。
- 共P-01:顧客対応・販売支援
- 共P-02:決済・債権債務・資金回収管理
- 共P-03:供給・在庫・物流
- 共P-04:会計・財務・経営
- 共P-05:総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム
- 共P-06:その他業務固有のプロセス
ここで間違えやすいのが、プロセス数の数え方です。
プロセス数は「導入したソフトの数」ではなく、「カバーするPコードの種類数」で数えます。
たとえば「販売支援(共P-01)」と「会計(共P-04)」の2本を入れると、2プロセスとカウントします。
一方、同じ「共P-01」に含まれる販売支援と顧客対応の機能を2つ入れても、Pコードは1つなので1プロセス扱いです。
(出典:IT導入補助金 通常枠の解説(プロセス数の考え方))
申請はどう進める?「IT導入支援事業者」とは誰のこと?
このAI導入補助金は自社単独では申請できず、「IT導入支援事業者」と組んで共同申請する仕組みです。
IT導入支援事業者とは、補助金の対象ITツールを提供・販売し、事務局に登録された事業者のことです。
(出典:中小機構「IT導入支援事業者とは」(デジタル化・AI導入補助金2026))
補助金を使ってツールを導入するには、このIT導入支援事業者として登録された販売者から購入する必要があります。
入れたいツールを扱う支援事業者を見つけるところが、最初の一歩になります。
ChatGPTはAI導入補助金で買える?注意したい「対象外」の落とし穴とは?
ChatGPTのような汎用AIツールは、単体ではこのAI導入補助金の対象になりません。
多くの経営者が「AIを補助金で導入する=ChatGPTを入れる」とイメージされますが、ここは注意が必要な点です。
制度上、生成AIは「汎用・自動化・分析ツール(汎用プロセス・汎P-07)」に分類され、単体では申請できない決まりです。
(出典:合同会社橋爪オフィス「ChatGPTはIT導入補助金の対象?」(2025年))
では、どうすればAIに補助金を使えるのか?
汎用AIツールは、業務プロセスに関わる他のITツールと組み合わせることで対象になり得ます。
販売管理や顧客管理(CRM)など、業務改善に直結するツールとセットで導入する形です。
私(生井)の経験上、ここの誤解が解けると安心される方が多いです。
なお対象ツールは事前に事務局へ登録されたものに限られ、「自社が入れたいツールがそのまま対象か」は個別確認が必要です。
(出典:税理士法人ビジョン・ナビ「デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠とは」(2026年))
実はAI導入補助金は一つじゃない?集客・販促で使える別ルートとは?
AIを「集客や販促の時短」に使う場合は、デジタル化・AI導入補助金以外の選択肢も視野に入ります。
その代表が「小規模事業者持続化補助金」です。
販路開拓を支援するこの制度でも、AIツールの費用が対象になり得ます。
対象は、経営計画に基づく販路開拓や、それとあわせて行う業務効率化の経費です。
新規顧客向けのチラシ作成・配布、WEBサイトのリニューアルなどが、その代表例です。
持続化補助金の補助額・申請先は?
通常枠の補助上限は原則50万円、補助率は3分の2です。
特例を組み合わせると、上限が最大250万円まで広がる場合もあります。
(出典:補助金・助成金ナビ「小規模事業者持続化補助金2026年度ガイド」(2026年))
申請窓口が商工会・商工会議所で、書類作成のサポートを受けられるのも特徴です。
注意:持続化補助金は「小規模事業者」専用です
ひとつ気をつけたいのが、この補助金は中小企業全般ではなく「小規模事業者」に対象が限られる点です。
具体的には、常時使用する従業員数が次の範囲の事業者です。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):5人以下
- 製造業その他・宿泊業・娯楽業:20人以下
(出典:経済産業省 中小企業庁「令和7年度 小規模事業者持続化補助金のポイント」)
従業員数がこれを超える中小企業は、デジタル化・AI導入補助金やものづくり補助金などが中心の選択肢になります。
集客・販促のAI活用に使える、その他の補助金は?
このほかにも、新しい取り組みの中でAIを使う場合に検討できる制度があります。
- 中小企業省力化投資補助金:カタログ掲載のAI・IoT製品を導入する際に活用(事前審査済みで手続きが比較的簡易)
- ものづくり補助金:AI搭載の設備・システム開発などを伴う取り組みに活用
- 新事業進出補助金:AIを活用した新規事業・業態転換に活用
(出典:補助金ポータル「2026年 中小企業向け主要補助金まとめ」(2026年))
ポイントは、多くの補助金が「AIツールそのもの」に出るわけではなく、「業務改善や新しい取り組みの中でAIを使う」場合に対象になり得る、という構造です。
このほか、自治体が独自に行うDX支援事業もあります。
お住まいの市区町村や都道府県の制度も、一度のぞいてみる価値があります。
2つの主要な制度は、目的が違うので向き不向きがあります。
| 項目 | デジタル化・AI導入補助金 | 小規模事業者持続化補助金 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 業務効率化・DX(社内の仕組み化) | 販路開拓・集客(売上づくり) |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者 | 小規模事業者のみ |
| 補助上限の目安 | 5万円〜450万円 | 50万円(特例で最大250万円) |
| 補助率 | 原則1/2(条件で2/3) | 2/3 |
| 申請の窓口 | IT導入支援事業者と共同申請 | 商工会・商工会議所 |
| AIの扱い | 登録ツール中心(汎用AI単体は不可) | 販促・効率化の手段として使える余地 |
注意点として、持続化補助金ではWEBサイト関連費に上限があります。
補助金総額の4分の1まで(50万円なら12.5万円まで)という決まりです。
(出典:補助金ナビ「小規模事業者持続化補助金とは」(2026年))
AI DXの費用相場はどのくらい?
AI DXの費用は「初期・月額・運用保守」の3つに分けると、全体像がつかみやすくなります。
- 初期費用:設定、データ移行、業務の棚卸しなど、導入の入り口でかかる費用
- 月額費用:クラウドツールの利用料。利用人数で変わることが多い
- 運用保守費:定着支援やサポートなど、効果を出すための費用
参考になる調査もあります。
ある中小企業AI導入の実態調査では、請求書処理にAI-OCRを導入した50人規模の製造業で、月20時間の残業削減・3ヶ月で投資回収という事例が報告されています。
(出典:合同会社価作「中小企業AI導入の現状2025(複数調査の統合)」(2025年))
※あくまで概算の例示ですが、月商500万円規模の店舗で予約・問い合わせ対応をAIで仕組み化すると、現場の作業時間に月10〜20時間の余裕が生まれるのは、十分に狙える範囲だと考えています。
大事なのは、費用を「出ていくお金」ではなく「何時間・何件の余裕に変わるか」で見ることです。
補助金で初期費用を抑えつつ、投資判断もぶれにくくなります。
ここはまさに、PVではなくCV、売上ではなく利益で判断する発想とつながる部分だと感じています。
投資効果の見方は、ROIで投資効果を判断する記事でも詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。
費用対効果は、削減できた作業時間や増えた予約件数といった定量面だけでなく、取りこぼしの減少や対応品質の安定といった定性面も含めて見るのが現実的です。
補助金を使うとき、見落としがちな注意点は?
補助金で最も誤解されやすいのが、「採択されたらすぐお金が入る」という思い込みです。
補助金は原則として後払い(精算払い)で、事業を実施・支払い、報告と検査を経て、ようやく入金されます。
(出典:蔵衛門.com「補助金採択後に必要な手続きとは?」(2026年))
いったんは費用の全額を自社で立て替える必要があります。
注意点1:交付決定の前に発注しない
交付決定の前に発注・契約したものは、原則として補助の対象外になります。
注意点2:同じ経費を複数の補助金で重複申請しない
原則として、同一の経費に複数の補助金を重ねて申請することはできません。
ただし、別々の取り組みであれば、制度を使い分けること自体は可能です。
(出典:ArcHack「中小企業のAI・DX導入で使える補助金・助成金 完全ガイド」(2026年))
注意点3:申請には手間と専門知識がかかる
正直にお伝えすると、補助金の申請は決して軽い作業ではありません。
事業計画の作成、対象ツールの確認、業務プロセスの整理、交付決定後の実績報告まで、工程が多く、制度ごとのルールも細かく異なります。
特にデジタル化・AI導入補助金は、前述のとおりIT導入支援事業者(ツールの販売者)との共同申請が必須です。
一方で、申請書類の作成サポートは、行政書士などの専門家が担うのが一般的です。
ここで知っておきたいのが、IT導入支援事業者と申請サポートの専門家は、役割が別だという点です。
- IT導入支援事業者:補助金対象のツールを提供・販売し、共同申請する(必須)
- 行政書士など:申請書類の作成や事業計画づくりをサポートする(任意)
申請を「自分一人で全部やろう」とすると、本業の合間に膨大な調べ物と書類作成を抱えることになりがちです。
ここはプロに任せることで、経営者は「どの制度を使い、AIで何を変えるか」という本当に必要な判断だけに集中できます。
みちしるべコンサルティング株式会社では、行政書士と連携し、補助金の申請サポートまで一気通貫で伴走しています。
「どの補助金が自社に合うか」「うちのAI導入は対象になるか」という入り口の相談から、スムーズな申請までをお手伝いできます。
補助金はあくまで入り口です。
本当の狙いは、AIで集客から利益、仕組み化までを一気通貫でつなぐAI×DXにあると考えています。
補助金で身軽に始め、その先で社内の判断構造そのものを自動化していく。
この順番が、無理のない形になりやすいです。
ここまでで全体像をつかんだら、あとは「自社のどの作業にAIを当てるか」の判断です。
【事例紹介】(業種:地域密着の士業事務所)
問い合わせ対応をAIで仕組み化したところ、初回返信が早まり、相談予約が安定して入るようになった事例があります。
以下は、みちしるべが直接関与したものではなく、一般に見られる改善パターンとしてご紹介します。
- 問い合わせ対応を所長が一人で抱え、返信が翌日以降になっていた
- 「料金が分からない」という理由で、問い合わせ前に離脱する人が多かった
- 補助金を使いたいが、どの制度が自社に合うか分からなかった
この状況を整理すると、次のように見えてきます。
- 原因:受け皿(返信・料金説明)が未整備のまま、集客だけを増やそうとしていた
- 必要だったアクション:問い合わせの初動を自動化し、料金や流れを先に伝える導線づくり
受け皿 → 導線 → 制度活用の順で、無理なく進められたのが特徴です。
具体的には次の3つです。
- よくある質問へのAI自動返信を整備し、初回返信を即時化
- 料金と相談の流れをまとめたページを作り、LINE登録へつなぐ導線を設置
- 業務ツールの導入費に使える補助金を、支援事業者と一緒に整理
これらを続けた結果、次の変化が出ました。
- 数字:相談予約が月4件 → 月7件になりました(期間:6ヶ月)
- 変化:初回対応の遅れによる取りこぼしが減り、所長が判断業務に時間を使えるようになりました
なぜ改善したか(1行)
AIによる自動対応と受け皿の整備をセットで進め、補助金で初期費用の負担を抑えられたためです。
ここまで読んだあなたへ
今回の記事でお伝えしたのは、「補助金は目的によって選ぶ制度が変わる」で導入の成否が変わる、という“考え方の地図”だと感じています。
ただ、実際に手を動かす段では、答えは会社ごとに違ってきます。
- 業務効率化が目的なのか、集客・販促が目的なのか
- 従業員数や業種が、どの制度の要件に当てはまるのか
- 立て替え資金をどこまで用意できるのか
——これによって、「最初にやるべき1つ」がまったく変わります。
もし「うちの場合、結局どの補助金から見ればいい?」と感じていたら、公式LINEに一言投げてみてください。
業種・規模・状況を教えていただければ、“あなたの会社ならここから”を具体的にお返しします。
みちしるべコンサルティング株式会社では、集客 → 利益 → 仕組み化までAIで一気通貫に支援する「CMO AI(Marketing Agent × DX Agent)」を提供しています。
補助金の申請サポートも行政書士と連携して伴走していますので、制度選びから申請まで、まとめてお任せいただけます。
よくある質問は?
Q1. ChatGPTだけをAI導入補助金で導入できますか?
汎用AIツール単体では、デジタル化・AI導入補助金の対象になりません。
販売管理や顧客管理など、業務プロセスを持つツールと組み合わせる形であれば、対象になり得ます。
Q2. 「プロセス数」はどう数えるのですか?
導入したソフトの数ではなく、カバーする業務プロセス(Pコード)の種類数で数えます。
会計と販売支援の2本なら2プロセス、同じ販売支援の機能を2つ入れても1プロセスです。
Q3. 持続化補助金は中小企業なら使えますか?
対象は「小規模事業者」に限られます。
商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他は20人以下が目安です。
これを超える場合は、デジタル化・AI導入補助金などが中心の選択肢になります。
Q4. 補助金は申請したらすぐに振り込まれますか?
すぐには振り込まれません。
補助金は原則として後払い(精算払い)で、いったんは費用を立て替える前提で資金を準備します。
Q5. 申請は自分一人でできますか?
制度上は可能ですが、書類作成や事業計画づくりに手間と知識がかかります。
IT導入支援事業者(ツールの販売者)との共同申請に加え、行政書士などの専門家に申請サポートを依頼すると、負担を大きく減らせます。
Q6. 自社にどの補助金が合うか分かりません。どこに相談すればよいですか?
業務効率化が目的ならデジタル化・AI導入補助金の支援事業者へ、販路開拓が目的なら商工会・商工会議所へ相談するのが近道です。
迷う場合は、目的の整理から一緒に進めることをおすすめします。
まとめ
AI導入補助金の中心は、2026年に名称が変わった「デジタル化・AI導入補助金」です。
ただしChatGPT単体は対象外で、集客目的なら持続化補助金など別ルートも視野に入ります。
補助金は後払い・申請に手間がかかる点も忘れずに、迷ったらプロに相談を。
まずは「AIで何の作業を楽にしたいか」を一つ決めるところから始めてみてください。





